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【少年野球】投げたら冷やすはもう古い?昔と今で変わったアイシングの常識と、子どもの肩・肘のケア

練習・身体のケア
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「低学年の盗塁ルールについての記事」では、球数制限があるのに盗塁し放題の試合で、バッテリーの負担が大きくなっている問題を取り上げました。

球数制限やルールで「投げすぎ」を防ぐことは大切です。でも、子どもの肩や肘を守るのはルールだけではありません。投げたあとに体をどうケアするかも同じくらい大事です。

そこで今回は、投球後のケアの代表格「アイシング」について整理します。実はアイシングは、ここ数年で考え方が大きく変わってきているテーマでもあります。

アイシングとは?なぜ投げた後に冷やすのか

アイシングは、氷のうなどで体の一部を冷やすケアのことです。投球は肩や肘に大きな負担がかかる動作なので、投げたあとの熱っぽさや張り、痛みをやわらげる目的で、昔から野球の現場で行われてきました。

プロ野球の投手が登板後に肩に氷を巻いている姿を、見たことがある方も多いと思います。

昔と今で、アイシングの考え方はこう変わった

ここが今回いちばん伝えたいポイントです。

私たち大人が野球をしていたころは、「投げたら冷やす」が当たり前でした。ところが今は、アイシングの位置づけがかなり変わっています。

昔の常識 今の考え方
位置づけ 投げたら必ずやるもの 必要なときに使う選択肢のひとつ
目的 回復を早めて、次の登板に備える 痛みや炎症を一時的に落ち着かせる
投げた後 とにかく冷やす 軽い運動やストレッチでクールダウンするのが基本
痛いとき 冷やして様子を見る くり返す痛みは冷やしてごまかさず受診

きっかけのひとつは、ケガの応急処置として広まった「RICE処置(安静・冷却・圧迫・挙上)」です。1978年にこの言葉を生み出した医師ガブ・マーキン氏自身が、2015年に「氷は回復を助けるどころか、遅らせる可能性がある」と考えを改めました(参考文献1)。そこから、スポーツ現場でもアイシングの効果を見直す声が増えていきました。

  • プロやメジャーリーグでも、登板後にアイシングをしない投手が増えている(参考文献3)
  • 研究のまとめでは、アイシングで筋肉の回復が早まったり、パフォーマンスが上がったりするという、はっきりした根拠は示されていない(参考文献5)
  • 高校生投手を対象にした2024年の研究では、投球後のクールダウンとして、アイシングより軽い運動のほうが、肩の可動域や筋力の戻りが良かったという結果も出ている(参考文献2)

一方で、短時間冷やすことで翌日の肩のだるさや痛みの感じ方がやわらいだという報告もあります。つまり、アイシングは「回復を早める魔法」ではなく、痛みや炎症を一時的に落ち着かせるための手段と考えるのが、今の落としどころです。

学童野球の現場でも、指導者によって「やるべき」「やらなくていい」と意見が分かれているのが実情です(参考文献4)。

冷やしたほうがいいとき・冷やすだけではダメなとき

では、どんなときに冷やせばいいのか。迷ったときの目安をまとめました。

こんなとき 冷やす? 理由
打球が当たった、ひねったなど、ケガの直後 ○ ケガ直後の短時間のアイシングは、痛みをやわらげる手段として有効とされる(参考文献3)
投げた後、肩や肘が熱っぽい・張っている ○ 短時間なら、翌日のだるさや痛みの感じ方がやわらぐという報告がある(参考文献4・5)
特に痛みはないが、毎回の習慣として △ 必須ではない。軽い運動でのクールダウンのほうが、肩の可動域や筋力の戻りが良かったという研究も(参考文献2)
このあとまた投げる・試合に出る × 冷やすと関節が固まったように感じるという声もあり、投げる前には向かない(参考文献3)
投げるたびに痛む、翌日まで痛みが残る × 冷やして痛みを感じにくくすると、体のSOSを見逃すおそれ。まず受診を(参考文献3)
長時間・1日に何度も冷やす × 子どもは凍傷のおそれ(参考文献4)。冷却を続けると筋力アップの効果が落ちたという研究もある(参考文献6)

ポイントは、「ケガや熱っぽさを一時的に落ち着かせる」ときは冷やす、「疲れを取る」「痛みをごまかす」ために冷やさないということです。

子どもがアイシングをするときの目安

アイシングをするなら、子どもならではの注意点があります。

項目 目安
時間 10分程度まで。小学生は肌が弱く、冷やしすぎると凍傷のおそれがある
使うもの 氷と少量の水を入れた氷のうが基本。冷凍庫から出したての保冷剤を直接肌に当てない
冷やす場所 投げた側の肩・肘など、熱っぽさや張りを感じるところ
冷やしたあと 軽いストレッチや腕を動かす運動で、固まった関節をほぐす

注意:痛みを「冷やしてごまかす」のは危険です

毎回投げるたびに肩や肘が痛む、翌日まで痛みが残る、という場合は、アイシングで様子を見るのではなく整形外科(できればスポーツ整形)を受診してください。冷やして痛みを感じにくくすると、体からの「SOS」を見逃してしまうおそれがあります。成長期の肘や肩は骨や軟骨が発達途中で、早めに見つけることがとても大切です。

アイシングより大事なこと

アイシングをするかどうか以上に、子どもの肩・肘を守るために大事なことがあります。

  • 投げすぎない:球数制限を守るのはもちろん、練習での投げ込みや、キャッチャーの送球数にも目を向ける
  • クールダウンをする:投げたあとに軽いキャッチボールやストレッチで体を落ち着かせる
  • 休む・食べる・寝る:回復の土台は、結局のところ休養・食事・睡眠
  • フォームを見直す:痛みが出やすい子は、投げ方に原因があることも多い
  • 定期的に検診を受ける:地域で行われている野球肘検診などを活用する

⚾ 物欲パパの考え

アイシングは「やれば安心」というものではなく、ケアの選択肢のひとつ。大事なのは、子どもが投げたあとに「肩どう?」「肘痛くない?」と大人が声をかけて、体の様子を見てあげることだと思います。

球数制限と同じで、子どもの体を守る仕組みは大人がつくるもの。アイシンググッズを用意するなら、それをきっかけに親子やチームで体のケアを話し合ってもらえたらうれしいです。

ジュニア用アイシンググッズの選び方

アイシングをするなら、氷のうを肩や肘に固定できるサポーターがあると便利です。子ども用を選ぶときは、次の点をチェックしましょう。

  • サイズ:大人用だとずれやすく、うまく冷やせない。ジュニア用か、大人・子ども兼用を選ぶ
  • 固定のしやすさ:子どもが自分で着けられるか、ベンチで動いてもずれないか
  • 氷のうの有無:サポーターと氷のうが別売りの商品もあるので、セット内容を確認する

ZAMST(ザムスト)ジュニアアイシング 肩

サポーターで知られるザムストのジュニア専用モデル。成長期の子どもの体に合わせたサイズ感で、肩をしっかり冷やせます。

ミズノ ジュニア用アイシングサポーター

野球用品でおなじみのミズノのジュニア専用モデル。身長130〜160cmが目安で、氷のうやアイスマットを入れて使います。

ゼット 氷のう式アイシングサポーター(ジュニア用)

ゼットのジュニア用モデル。身長135〜150cmくらいが目安で、伸び縮みするストラップでしっかりフィットします。左右兼用なので、右投げ・左投げどちらでも使えます。氷のうは別売りで、SサイズとMサイズの氷のうが使えます。下で紹介している氷のう(Sサイズ)とあわせて用意しましょう。

まとめ

  • 「投げたら必ず冷やす」は昔の常識。今は必要なときに使う選択肢のひとつ
  • アイシングは「回復を早める」ものではなく、痛みや炎症を一時的に落ち着かせるためのもの
  • 子どもは10分程度まで。保冷剤を直接当てず、氷のうを使う
  • 投げるたびに痛むなら、冷やしてごまかさず整形外科へ
  • アイシング以上に、投げすぎない・クールダウン・休養が大切

球数制限、盗塁のルール、そして投げたあとのケア。子どもたちが長く野球を続けられるように、大人ができることを一つずつ積み重ねていきたいですね。

参考文献

  1. Is it time to rethink RICE for soft-tissue injuries?(newsGP/オーストラリア王立一般開業医協会)
  2. 野球投手の投球後に実施する肩周囲へのアイシングや軽運動が投球パフォーマンスおよび肩関節可動域と肩関節周囲筋力に与える影響(日本アスレティックトレーニング学会誌, 2024年)
  3. アイシングで怪我が悪化も? プロ野球トレーナーが指摘する「盲点」と適切な処置法(THE ANSWER)
  4. 小学生も投球後アイシングするべき?(中日スポーツ)
  5. 野球選手にアイシングは必要か?最新研究が示す”正しい使い方”(カズ@ベースボールトレーナー)
  6. Are athletes approaching the end of the ice age?(クイーンズランド大学, 2015年/Journal of Physiology掲載研究の紹介)

※本記事は一般的な情報をまとめたもので、医学的な診断や治療に代わるものではありません。痛みや違和感がある場合は、医療機関を受診してください。

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