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野球肘で「痛くなくなった」は治ったではない|私の肘が伸びなくなった話

練習・身体のケア
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どうも、物欲パパです。

今日はグローブの話ではありません。私の肘の話をします。

私の肘は、今も真っすぐ伸びません。中学2年生のときに痛めた野球肘を、最後まで治さなかったからです。

「もう痛くないから、大丈夫」

あのとき私はそう判断して、整形外科に通うのを自分でやめました。20年以上経った今も、肘はあのときのままです。

文章だけだと伝わりにくいので、写真を撮りました。両腕をそろえてまっすぐ前に伸ばし、左右から1枚ずつ撮っています。両方ともまっすぐ伸びているなら、どちらから撮っても腕は1本に見えるはずです。

両腕をそろえてまっすぐ前に伸ばし、左側から撮影した写真。手前のまっすぐな左腕に奥の右腕が完全に隠れ、腕が1本にしか見えない
左側から|手前がまっすぐ伸びた左腕。奥の右腕は完全に隠れて見えません。
同じ姿勢を右側から撮影した写真。手前の右肘が伸びきらないため、奥のまっすぐな左腕が上側にはみ出し、腕の輪郭が2本に見える
右側から|手前が右腕。肘が伸びきらないので、奥の左腕が上にはみ出しています。

右肘が伸びきらないぶん前腕が下に落ちるので、奥にあるまっすぐな左腕が上に残ってはみ出します。これが「伸びない」の正体です。痛みはありません。曲げるのにも困りません。最後のひと伸びだけが、戻らなかった。

先に正直に書いておきます。私は今も休日に草野球やソフトボールで外野を守っていますし、投げるのに支障はありません。日常生活で困ることもない。だから「大変な目に遭った」という話ではないんです。ただ、元には戻らなかった。戻らないものは、あとから何をしても戻りません。

それだけの話ですが、子どもを野球に通わせる側になった今だから、書いておきたいと思いました。

なお、私は医師ではありません。この記事に治療法は書きません。書くのは、当時の私が何を間違えたのかと、親に何をしてほしかったのか。その2つだけです。

結論:「痛くなくなった」は「治った」ではありません

  • 痛みが消えることと、体が治ることは同じタイミングではありません。私の肘が伸びなくなったのは、痛みが引いたあとです
  • 「整形外科に行かせる」だけでは足りません。私の親はちゃんと行けと言ってくれました。それでも防げませんでした。足りなかったのは最後まで通わせることです
  • 子どもは「痛い」と言えません。子どもにとって痛みは「良くないこと」の報告であり、そもそも先のことまで考えられない。先を考えるのは大人の役目です
  • 元に戻らなくなっていく間、痛みが出るとは限りません。気づいたときには終わっています

中学2年生のとき、肘が痛くなりました

部活で投げていて、肘が痛むようになりました。ここで私が取った行動は、我ながら典型的です。

痛みを我慢しながら、練習は続けました。そのうえで整形外科には通いました。つまり治療はしていたんです。していたのに、練習を止めなかった。

なぜ休まなかったのか。理由ははっきりしています。部活動だったので、痛いと言い出しにくかったからです。

ただ、指導者が怖かったとか、そういう話ではありません。今になって考えると、理由はもっと単純でした。子どもだったからです。

子どもにとって「痛い」は、良くないことの報告です。良くないことは、言いにくい。それだけの話でした。

そしてもうひとつ。この先の野球人生や、自分の体の健康について、当時の私はまるで考えられていませんでした。目の前の練習と、目の前の試合しかない。20年後の肘のことなど、考える材料も発想も持っていませんでした。これも、子どもだからです。

親御さんに知っておいてほしいのはここです。子どもが痛みを言わないのは、痛くないからではありません。子どもだからです。そして、子どもに「先のことを考えて判断しろ」と求めても無理です。先を考えられる立場にいるのは、大人のほうだけなんです。

「もう痛くない」で、私は通院をやめました

しばらく通ううちに、痛みを感じなくなってきました。

そこで私は、自分の判断で整形外科に行くのをやめました。医師に「もう来なくていい」と言われたわけではありません。痛くなくなったから、もう治ったと思った。それだけです。

中学生の判断としては、そこまで不自然でもないと思います。痛いから病院に行った。痛くなくなった。だから終わり。理屈としては通っている。

ただ、体はその理屈で動いていませんでした。

気づいたのはずいぶん後です。ふと腕を伸ばしたときに、肘が最後まで伸びきらない。反対の腕と見比べたら、はっきり違う。戻せる段階はとっくに過ぎていました。

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。肘が伸びなくなっていく間、私に痛みはありませんでした。痛くないから気づかない。気づかないから何もしない。そうやって静かに固まっていきました。

痛みが消えることは「終わりの合図」ではありません

痛みが引くタイミングと、傷んだところが元通りになるタイミングは、必ずしも一致しません。だから医師は、症状が消えたあとも経過を見ようとします。

「もう来なくていいですよ」は、患者が決める言葉ではなく、医師が言う言葉です。当時の私は、それを自分で決めてしまいました。

親は正しかった。それでも、防げませんでした

誤解のないように書いておくと、私の親は「整形外科に行きな」と言ってくれました。放置されたわけでも、根性で乗り切れと言われたわけでもありません。親の対応は正しかったんです。

それでも私の肘は伸びなくなりました。

だから私はこの記事で、「子どもを病院に行かせましょう」とは書きません。それでは足りないことを、自分の肘で知っているからです。

足りなかったのは2つです。

ひとつは、通い切ったかどうかを誰も確認しなかったこと。行けと言われて行った。そこで親の役目は終わった扱いになりました。私が勝手にやめたことは、たぶん誰も把握していません。

もうひとつは、私が練習を休んでいなかったことを、誰も知らなかったこと。病院に行っている=ちゃんとやっている、という扱いになっていました。実際には、治療しながら投げ続けていたわけです。

この2つは、どちらも親が確認できることです。難しいことは何もありません。ただ、当時は誰もそこまで見ていませんでした。

同じ私が、膝ではうまくやれました

ここは自慢ではなく、対比として書きます。私は中学1年生のときにオスグッド病もやっています。膝のお皿の下あたりが痛くなる、成長期にはよくあるものです。

こちらは肘とは違う結果になりました。

痛めたのがオフシーズンだったのが大きかったと思います。ランメニューから外してもらって、筋トレ中心に切り替えました。走らなくていい時期だったので、抜けることの重さが肘のときとまるで違ったんです。

試合が続くシーズン中に「走れません」と言うのと、オフに「今は走らないでおきます」と言うのとでは、必要な勇気の量が違いすぎます。

今も膝の骨は少し出ていて、正座すると床に当たって痛い。でも、それだけです。オフの過ごし方は、上達だけでなく、体を守るという意味でも効いてきます。

つまり私は、肘では失敗して、膝では間に合った。違いは私の根性でも意識の高さでもありません。休みやすい時期だったかどうかです。

逆に言えば、休みにくい時期にこそ、子どもは黙って我慢します。大会前、新チームになったばかりのとき、練習が一番きつい時期。「今は休みにくいな」と大人が感じる時期は、子どもにとってはもっと言い出しにくい時期です。親が気にかけるべきなのは、まさにそのタイミングです。

親にお願いしたい3つのこと

1. 「痛い?」ではなく「どこがどう痛い?」と聞く

「肘、痛くない?」と聞かれたら、中学生の私は「大丈夫」と答えます。反射です。はい・いいえで答えられる質問は、隠すのが簡単すぎるんです。

「今日は何球投げた?」「投げたあと、腕は上がる?」「まっすぐ伸ばせる?」のように、事実を答えさせる形にしてください。それと、両腕を前に伸ばして左右を見比べるのは、家でもできます。左右で違えば、それは子どもの主観ではなく事実です。

2. 「もう来なくていい」を医師から聞くまで通わせる

これが、私がいちばん後悔していることです。

子どもが「もう痛くない」と言い出したら、それは通院をやめる理由ではなく、次の受診で医師に伝えるべき情報です。痛みが消えた状態で診てもらって、はじめて「では終わりにしましょう」になります。

通院は面倒です。送迎もあるし、練習とも重なる。それでも、やめるタイミングを子どもに決めさせないでください。当時の私に決めさせた結果が、伸びない肘です。

3. 「休んだら終わり」だと思わせない

子どもは、休んだ先に何が待っているかを想像できません。だから目の前の「今日抜けること」だけが、実際より大きく見えます。先を天秤にかけて判断するのは、大人にしかできないことです。

ここで親ができるのは、休んでいる間にやれることを一緒に見つけてやることだと思います。私の膝のときがまさにそれで、走れない代わりに筋トレをしていました。「休む」が「何もしない」とイコールでなくなると、子どもは急に言い出しやすくなります。

制度の側も、この10年で大きく変わりました。学童野球の球数制限が変わる!2026年から週210球上限を徹底解説や高校野球の球数制限をわかりやすく解説|1週間500球のルールと「1日の上限がない」理由で書いたとおり、投げすぎを個人の我慢ではなくルールで止めようという流れになっています。私が中学生だった頃には無かった発想です。

それから、地域によっては野球肘検診が行われていることがあります。痛くない段階で見つけるための取り組みです。お住まいの地域で開催されていないか、一度調べてみてください。痛くなってから行くより、痛くない今のうちに行くほうが強いのは、私の肘が証明しています。

よくある質問

Q. 痛みがすぐ引くなら、様子を見てもいいですか?
A. 私はそれで失敗しました。投げたあとだけ痛む、翌日には引いている。それでも痛みが出ている以上、体は何かを訴えています。そして私の肘が伸びなくなったのは、痛みが引いたあとです。痛みの有無だけでは判断できないというのが私の実感です。判断は整形外科でしてもらってください。
Q. 子どもが「大丈夫」としか言いません
A. 中学生の私も「大丈夫」しか言いませんでした。言わなかったのではなく、言えなかっただけです。聞き方を、はい・いいえで答えられない形に変えてみてください。両腕を伸ばして左右を見比べる、腕がどこまで上がるかを見る。子どもの申告ではなく、親が見て分かる事実を増やすのがいちばん確実です。
Q. 肘が伸びないと、その後の野球に影響しますか?
A. 私の場合は、投げるのにも日常生活にも支障はありません。そこは正直に書いておきます。ただ、それは結果論です。どこまで残るかは人によって違いますし、私は「このくらいで済んだ」だけの話です。同じことをお子さんに試させる理由にはならないと思っています。
Q. 何科に行けばいいですか?
A. 整形外科です。可能であればスポーツ整形や、野球肘を診た経験のある医療機関だとより安心だと思います。
Q. オスグッドと野球肘で、親が気をつける点は同じですか?
A. 部位は違いますが、成長期の体を使いすぎて起きるという点と、休めば選択肢が残るという点は共通していると思います。私の場合、膝は休めたので間に合い、肘は休まなかったので間に合いませんでした。

まとめ

  • 私は中学2年で野球肘になり、痛みを我慢して練習を続けながら整形外科に通った
  • 痛みが消えたので自己判断で通院をやめた。肘が伸びなくなったのは、その後
  • 親は「整形外科に行きな」と言ってくれていた。それでも防げなかった。足りなかったのは最後まで通わせることと休ませること
  • 子どもは「痛い」と言わないのではなく言えない。良くないことは言いにくいし、先の野球人生や体のことまでは考えられない。それができるのは大人だけ
  • 中1のオスグッドはオフシーズンで休めたので間に合った。違いは根性ではなく休みやすさ

戻れるならどうするか、と考えることがあります。答えはもう決まっています。しっかり休んで、最後まで治療をすること。そして、親や監督に隠さずに言うこと。この2つだけです。特別なことは何ひとつありません。

私はふだん、グラブの手入れの話ばかりしているブログをやっています。オイルを塗って、型を直して、切れた紐を替えて。15年以上使い続けているグラブもあります。道具は、気に入ったものに買い替えることもできるし、古くなったら新しくできる。手を入れれば、それだけ長く使えます。

でも、身体は新しくなりません。

グラブにはあれだけ手をかけていたのに、自分の肘は最後まで面倒を見なかった。順番が完全に逆でした。いちばんメンテナンスすべきだったのは、道具ではなく身体のほうです。グラブの手入れの記事をいくつも書いてきた人間として、これだけは書いておきたいと思いました。

お子さんが「なんか肘が痛い」と言ったなら、それは相当な決心の末に出てきた一言です。どうか、その一言を最後まで扱ってやってください。

物欲パパでした。(うちの一番古いグラブは15年選手です。肘のほうが先にガタが来ました)

※本記事は私自身の経験を書いたもので、診断や治療の助言ではありません。痛みや違和感があるときは、必ず整形外科を受診してください。

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