どうも、物欲パパです。今日はいつもの比較記事ではなく、ちょっとエモいコラムを。
平成の後半、私が現役の球児だった頃。チームのエースの足元だけ、何かが違いました。
革底スパイク。ミズノプロの、ヌバックのやつ。
土を踏むたびに独特の艶を放つあの一足が、たまらなくかっこよかった。うちは裕福ではなかったので、私は安いスパイクを履いていました。だから野球用品店に行くたび、買えもしない革底スパイクの棚の前で立ち止まって、ただ眺めていたんです(笑)
そんな憧れの革底スパイク、最近まったく見なくなったと思いませんか?今日は「革底はなぜ消えたのか」を、当時を知る道具マニアとして調べ、語ります。
革底スパイクとは?知らない世代のために
今の若いプレーヤーは「スパイクの底が革?」とピンとこないかもしれません。現在主流の樹脂(ナイロン・ウレタン)底に対して、革底スパイクはアウトソールが天然皮革でできたスパイク。金具は埋め込みではなく、交換できる取替式が基本でした。
茶色い革底に三角歯のスチール金具。手入れをするとグラブのように艶が出る。平成の野球部には、まだ普通にあった風景です。
データで見る「革底の消滅」
現状は、想像以上に進んでいました。
- 現在発売されているスパイクの約9割が樹脂底
- ミズノ・アシックス・SSK・ゼットといった大手の定番カタログから革底スパイクは姿を消した
- ミズノとアシックスはオーダーでも革底を終了。専門店からは「絶滅危惧種」という声も
私が用品店で眺めていたあのミズノプロの革底は、もうオーダーでも作れない。調べていて、ちょっと本気で寂しくなりました。
なぜ消えたのか:樹脂底の「正しさ」に勝てなかった
理由は明快で、樹脂底が優秀すぎたんです。
- 軽い——素材と製法の進化で、かつての「樹脂は重い」は過去の話に
- 安い——埋め込み金具との組み合わせで製造コストが下がり、価格も手頃に
- 雨に強い——革底は水を吸って重くなるが、樹脂は平気
- 手入れ不要——革底はグラブ並みのメンテナンスが必要。樹脂は洗って干すだけ
部活動の毎日の練習で使う道具として、どちらが「正しい」かは明らかでした。合理性の勝負で、革底は完敗したわけです。
それでも愛された理由:「素足感覚」という魔力
では革底はただの旧式だったのかというと、まったく違います。革底には、樹脂が今も再現できない価値があります。
それが「素足感覚」。履き込むほどに革底が沈み、自分の足裏の形になっていく。地面を踏んだ情報がダイレクトに足に届く。グラブが手に馴染むのと同じ現象が、足元で起きるんです。革を愛する者として、この理屈には震えます。
だからこそ、足で飯を食う男たちが革底にこだわりました。5年連続盗塁王の赤星憲広さん、盗塁王2度の本多雄一さん——歴代のスピードスターに革底の愛用者がいたのは偶然ではありません。そして2018年夏の甲子園決勝では、大阪桐蔭・柿木投手と金足農業・吉田輝星投手、両エースがともに革底スパイクを履いていて、用具好きの間で話題になりました。
もうひとつ、革底は「直して育てる道具」でもありました。すり減った金具は交換できる。底が減れば革を当てて釘で打つ「サン打ち」という修理文化まであった。買い替えるのではなく、直して長く使う。今の時代が失いつつある道具観そのものです。
私と革底:買えなかった憧れの話
冒頭の続きを少しだけ。
エースの革底ヌバックは、練習後の手入れまで含めて絵になっていました。自分のスパイクとは明らかに違う佇まい。悔しいとかじゃなく、ただただ「いつかあれを履きたい」と思っていた。用品店で棚の前に立って、値札を見て、そっと帰る。あの頃の私の週末です(笑)
いま思えば、あれが「物欲パパ」の原点だったのかもしれません。買えなかった少年は30歳になり、気づけばグラブの棚がいっぱいになるほど道具を買う大人になりました。妻には呆れられていますが、原因は平成のあの用品店にあるんです。責任を取ってほしい。
革底スパイク、実はまだ買えます
「もう手に入らないのか」というと、そうでもありません。ザナックス、玉澤(TAMAZAWA)、久保田スラッガー、ハイゴールドといった職人気質のメーカーは今も革底を作っていますし、ゼットやSSKはオーダーで対応可能です。専門店には金具交換やサン打ち修理を続けている職人さんもいます。
週末の草野球なら、雨の日は避ければいい。手入れの時間はグラブと一緒に楽しめばいい。合理性で選ばなくていい大人の野球にこそ、革底は似合うのかもしれません。
まとめ:合理性に消されたものが、一番かっこよかったりする
革底スパイクが消えたのは、樹脂底が正しかったから。それは間違いありません。現代のスパイク事情と選び方はポイントと金具の比較記事に、費用の話はこちらにまとめています。
でも、正しさだけで語れないのが道具の世界。履くほどに自分の足になっていく革底の魔力と、それに憧れた平成の球児がいたことは、ここに書き残しておきます。
……で、調べているうちに久保田スラッガーの革底がまだ買えることを知ってしまいました。30歳の私は、あの頃と違って財布を持っています。あとは妻の決裁だけです。物欲パパでした。
※商品の仕様・価格・取扱状況は変更される場合があります。最新の情報は各メーカー・販売店でご確認ください。


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